2018年2月1日(木)のフジテレビ・奇跡体験!アンビリバボーは、
心臓病で余命10年の愛娘を救おうと医療の素人にもかかわらず、
不可能に挑戦した小さな町工場の社長・筒井宣政さんと家族の
物語です。
10年間の挫折と戦うも、娘さんを救うことはできませんでした。
しかし
「その知識を心臓病で亡くなる子供たちのために使って」と言い
残した娘さんの言葉を胸に、
30年間で12万人もの命を救うことになる心臓補助医療機器
「IABPバルーンカテーテル」の国産化を成功させたのです。
当時は、日本人より心臓も血管サイズも大きい欧米人用の輸入品
しかなかったので、バルーンの破裂や合併症などの医療現場での
事故率が高く、
日本人サイズの、高い信頼性がある医療器具が求められてい
たのでした。
※IABP=大動脈内バルーンポンピング
不可能に挑戦した筒井宣政さんや、「IABPバルーンカテーテル」
について調べてみました。
目次
◆筒井宣政(つつい のぶまさ)の大学や経歴
医療の未来を切り拓く挑戦者たち スペシャル
2015/01/08(木)22:00 カンブリア宮殿より引用筒井宣政は名古屋市出身、1941(昭和16年)生まれで3人娘の父親です。
昭和39年3月 関西学院大学 経済学部卒業
昭和39年4月 東海高分子化学株式会社入社
昭和57年6月 東海高分子化学株式会社代表取締役就任
昭和56年10月 株式会社東海メディカルプロダクツ設立
代表取締役就任
平成 3年9月 株式会社ヴァーユ設立、代表取締役就任
平成24年12月 株式会社東海メディカルプロダクツ
代表取締役退任、会長就任
引用元: 産学官連携ジャーナル
❖父親の会社に入社、莫大な借金を知る
1964(昭和39)年3月、関西学院大学を卒業後すぐ父親が経営して
いた樹脂加工の町工場・東海高分子化学株式会社に入社します。
そこで、筒井さんは父親が連帯保証人になって抱えた借金が、あり
それを会社の収益だけで返すには72年もかかることを知ります。
なんとかしなければと思った彼は、自社の樹脂加工技術を生かし、
アフリカの女性向けに髪を結うビニールひもを開発します。
それは大商社の知人に「絶対に儲かるよ」と言われたからです。
筒井さんはずいぶん単純に人を信じる人なんですね。
でもアフリカまで自分で営業に行った結果、その髪結いひもが
大ヒットして、
1974(昭和49)年には父親の借金を完済します。
❖次女・佳美の余命を告げられ、人工心臓の研究を始める
会社が順調に回り始めたころ、生まれつき心臓が正常に血液を
流す事ができなくなる難病(三尖弁閉鎖症)を持っていた次女の
治療法がなく、医師から余命は10年と告げられます。
佳美さんがまだ9歳の時でした。
娘の心臓を治そうと手術ができる病院を探しましたが、
アメリカでも不可能と言われます。
夫婦は、家業で稼いだお金2000万円(現在なら約2億円)を
心臓病の研究のため寄付して、娘を救いたいと考えます。
しかし、訪れた東京女子医科大学の医師からなんと人工心臓の
研究を勧められるのです。その大学病院との共同研究です
なんとしても娘を救いたい筒井さんは人口心臓の研究に挑戦
する決意をします。
1981(昭和56)年10月父親の会社とは別に、人工心臓の研究の
ための株式会社東海メディカルプロダクツを設立し
代表取締役に就任します。
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❖研究費用に行き詰まり、人工心臓の研究を断念
東海高分子化学株式会社や国からの研究費援助などをうけて
1986(昭和61)年、8年の歳月と8億円を投じた人口心臓の
試作品が完成、動物実験にこぎつけました。
しかし、実用化にはさらに莫大な資金(1000億円)が必要な
ことがわかり人口心臓の制作は断念せざるを得ないことが
判明します。
その時、次女が父親にかけた言葉が
「これからはその知識を病院で見かけた心臓病で亡くなる子供
たちのために使って」だったのです。
自分の命よりも、他人を思いやる娘さんのやさしい言葉に
感動した筒井さんは、費用をかけずに、自分にできることを
探します。
それが、日本人の身体のサイズに合ったIABPバルーンカテー
テルの制作でした。
当時の技術では開発不可能と言われていましたが、筒井さん
には長年培ってきた樹脂加工の経験と
人工心臓を開発する過程で得た医学知識をもとにした、誰
にも明かしていない技術を持っていましたから、自信が
あったそうです。
そのため、そこから約2年後の
1989(平成元)年に国産初のIABPバルーンカテーテルを完成
させることができたのです。
その時、心臓病の娘さんはすでに病床にあったそうですが、
カテーテルの完成をとても喜んで、
筒井さんが、「カテーテルを採用してくれる病院がみつかった
ことを報告するたびに、また1人の患者さんの命が助かるのね」
とわがことのように喜んだそうです。
なんだか、涙がでてきてしまいます。
◆IABPバルーンカテーテルの詳細
IABPバルーンカテーテルとは
心臓のまわりには、心臓を動かすために心臓の筋肉に血液を
送る冠状動脈という血管があります。
その冠状動脈が細くなったり(狭心症)、詰まってしまって
血液がうまく心臓を動かす筋肉に届かない(心筋梗塞)場合に
一時的に冠状動脈を広げたり、しぼめたりして血液を流して
心臓の働きを助ける風船の役目をする管です。
カテーテルを足の付け根(股のところ)当たりの動脈から入れて
心臓付近の大動脈内で心臓が膨らんでいるとき(拡張期)に
バルーンを膨らませると、心臓のまわりの血管や頭の血管に血液
が送られます。
逆に、心臓が縮むとき(収縮期)にバルーンを縮めると心臓が
中の血液を送り出しやすくなります。
これをくりかえして弱った心臓のポンプ機能を一時的に補助する
のです。
この後に、根本的な治療を開始します。
IABPバルーンカテーテルには、S、M,Lの3サイズがあります。
IABPバルーンカテーテルの図解はこちら⇒ 株式会社東海メディカルプロダクツ
◆◆人工臓器物語 コンタクトレンズから人工心臓まで / 筏義人/著 / 裳華房
❖株式会社東海メディカルプロダクツとは
国産初日本人サイズのIABPバルーンカテーテルの開発・製造から
はじまり、循環器分野のみならず、脳血管分野、透析分野、消化
器分野へと製品の領域を広げてきました。
主に肝臓がんの治療に用いられる「マイクロカテーテル」で
シェアトップを獲得、また、透析分野では、他の追随を許さない
製品で全国のドクターから高く評価されるなど、
まさに「一人でも多くの生命を救いたい」という企業理念を実践
しています。
今日では海外への製品の輸出も積極的に進めています。
創業 1981年、資本金 8475万円 売り上げ高 35億2000万円
従業員196名、売上高32億円の 中小企業です(2016年)。
この時の代表者は 筒井 康弘
筒井筒井宣政さんは会長に就任しています。
株式会社東海メディカルプロダクツ⇒ ホームページはこちら
❖筒井宣政さんの受賞歴
数々の医療機器の開発と製造に貢献したことによる
筒井宣政さんの受賞歴のほんの一部です。
主な受賞歴 / Awards
・EYワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2016 日本代表(平成28年6月)
・旭日双光章 受章(平成23年11月)
・高分子学会 平成23年度フェロー受賞(平成23年9月)
・黄綬褒章 受章(平成14年4月)
・名古屋大学 博士課程リーディングプログラム(PhDプロフェッショナル登龍門)客員教授引用元:引用元: 産学官連携ジャーナル
◆◆人工臓器物語 コンタクトレンズから人工心臓まで / 筏義人/著 / 裳華房
◆まとめ
娘さんの心臓疾患がきっかけで起業することになった
筒井宣政さんとご家族の挫折と成功の物語。
娘さんを救うために人工心臓を試作したけれど、資金
がどうにもならず、断念したとき
「その知識を心臓病で亡くなる子供たちのために使って」
と言った娘さんの言葉がなかったら、
これほど医療界に貢献する機器を開発・製造することは
なかったでしょう。
せめての救いは、娘さんが23歳の若さで亡くなる2年ほど
前にバルーンカテーテルが完成して、狭心症や心筋梗塞
で亡くなる命を救えた喜びを共有できたことです。
筒井さんは、日本人工臓器学会との共同で次女の佳美さん
の名前がついた研究助成制度
「Yoshimi Memorial T.M.P. Grant」を1996年より開始し
ました。
これによって人工心臓を開発する人が出るといいですね。
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