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コドモエナジー岩本泰典の電力不要の蓄光材「ルナウェア」開発物語

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テレビ朝日の羽鳥慎一モーニングショーで、毎週火曜日に報道される
「羽鳥が現場へ直行!聞きトリ」は、いつも苦労しながらも信念を持
って何かの開発に専念して成功した人の物語です。

「毎回すごい人がいるのだなあ」と他人事に思って見ていましたが、

今回のコドモエナジー(株)社長の岩本泰典さんが、日本の伝統工芸
有田焼の技術を使って、電力を必要とせず、耐久性にも優れている
蓄光材「ルナウェア」を開発した物語には、久々に心の底から感動
しました。

この蓄光材は、電力不要で、1時間日光や電気の光にあてると12時間
も暗闇で自然に光るという優れものです。
(通常の誘導標識は1時間ぐらいで光が消える)

真っ先に商品化したものは、災害時に人を誘導する標識でした。
プラスチックの標識では火災の時に燃えてしまって役に立ちません。

しかし、この蓄光材は高温に強く、割れにくいのです。

この誘導標識を東日本大震災で災害を経験した福島県川内村に工場を
建てて生産しています。

「福島の復興の一助になってほしい」という岩本泰典さんの思いから
です。

さあ、ルナウェア開発物語の始まりです。

◆コドモエナジーを創業した経緯

もともとリフォーム工事業を営んでいた岩本泰典さんの取引先の一つに
株式上場している大手建材商社がありました。

その会社の営業本部長(常務)が会社を辞めて、「人にやさしいもの
づくりの会社を興したい」とのことで「営業は自分がやるから工事
をやってくれないか」と誘われたのです。

彼の考えに共感した岩本泰典さんは、共同創業のかたちで2004年に立ち
上げたのがコドモエナジーです。

コドモエナジーという社名は、

未来の子どもたちに向けて、やさしいものづくりをしようという願い
を込めて名付けました。子どもにやさしいものは、人にもやさしく、
環境にもやさしい。子どもはすべてにつながるということですね。

とのこと。
確かに、子どもにやさしいものは、人にもやさしく環境にもやさしい
ですよね。

この社名の中に、創業者の気持ちが込められているのがわかります。

コドモエナジーのスタートは、人にやさしいしっかりした商品を開発
して独占販売させてもらうという知的財産ビジネスでした。

最初に開発したのが蓄熱式床暖房システムです。

上場をめざして木材住宅メーカー向けに勧めて販売しようとしていた
創業2年目に、共同創業者が急に亡くなってしまったのです。

なんということでしょうね。いざこれからと言う時に。

❖パートナーの急逝

共同創業者の営業担当者が急に亡くなって、販売もままならなくなり
会社の財務内容を改めて調べてみたら、大変なことになっていました。

蓄熱式床暖房システムの基幹技術を持つヒーターメーカーへの特許料
が非常に高く、数千万円の借金が残っていたのです。

そのため、コドモエナジーはいったん休眠状態にして、いずれは自分の
力でもう一度復活させよう思い、岩本泰典さんは名古屋の会社の社長か
ら頼まれていた自動車部品の検査代行会社を始めました。

岩本泰典さんは、「いろんな方とのご縁が、僕の財産です」とおっしゃ
っていますが、本当にそうですね。

困った時は、きっと誰かが助けてくれるご縁にめぐまれるのです。

それは岩本泰典さんが常々、誰かを助けておられるからではないで
しょうか。

❖リーマンショックに見舞われる

自動車部品の検査代行会社がなんとか軌道に乗って、借金も減り始めた
矢先のこと、今度はあのリーマンショックに見舞われてしまいます。

当時は世界中が不景気になってしまったことを筆者も覚えています。

岩本泰典さんの会社も仕事がパタッと止まり、それでも人件費は出て
いきますから、せっかく減り始めた借金がまた膨らんでしまいます。

さすがの岩本泰典さんも、にっちもさっちもいかなくなり、ボロボロ
になって死のうかなと思ったそうです。

そんなとき、またまた助っ人が現れます。

それは、急逝したコドモエナジーの共同創業者の弟さんでした。

岩本泰典さんの苦労をずっと見ていた弟さんは、
「兄が君を巻き込んだためにこうなったのは申し訳ない。君は僕の弟だ
と思ってできることは何でもするから」と、連れて行ってくれたのが
有田焼の窯元でした。

共同創業者も立派な人でしたが、弟さんも偉い人ですね。
弟さんがなぜ岩本泰典さんを有田焼の窯元に連れて行ったのかが不思議
ですね。

弟さんも有田焼の窯元を見学して何かひらめいたものがあったので
岩本泰典さんの役に立つかもしれないと思ったのでしょう。

有田焼の窯元で職人さんに見せてもらったのが、蓄光剤の入った光る
タイルのかけらでした。

初めてそれを見た岩本泰典さんは、「なんや、この光るもんは、
こんなことができるんか」と驚いたそうです。

有田焼が光るなんて知らなかったのです。

◆蓄光材「ルナウェア」の開発スタート

共同創業者の弟さんがどうして岩本さんを有田焼の窯元に連れて
行ったのかわかりませんでしたが、

どうやら有田焼の光るタイルはまだできたばかりで、職人さんは
これからそのタイルを売ろうとしていたらしいのです。

珍しいものなので、これから何かを開発して岩本さんが売れる
商品にできるかもしれないと思って紹介したようです。

有田焼の窯元を見学したとき、岩本さんは、そのタイルの値段を
職人さんに聞くと、タイル10センチ角1枚で7000円と聞いてあま
りの高さに驚きます。

通常のタイルは1枚20円から50円ぐらいだからです。

それでも東京の商社が売ってくれそうだと言うので、「それなら
頑張ってみい。何かあったら電話しておいで」と声をかけて、岩本
さんは、その場はそのまま帰りました。

あまりに値段が高いので商売にならないと思ったのかも知れませんね。

しかし、よくよく考えた岩本さんは、光るタイルの使い道が色々ある
ことに気づいたのでしょう。

しばらくしてその有田焼の職人さんに連絡をしたところ、販売がうまく
いっていないことを知ります。

そこで、岩本さんは、それなら引き払って大阪で一緒にやろうと
言って、蓄光タイルの商品化がスタートしたのでした。

❖品質を良くする苦労

蓄光タイルは、タイル地に蓄光剤を含む顔料とガラス材料を混ぜた上薬
を塗りますが、タイル地と上薬がつくるガラス地の膨張率と収縮率が
違うので、焼いたときに表面にどうしてもひび割れができてはがれて
しまうのです。

それで、職人たちは商品化をあきらめかけていたといいます。

しかし岩本さんはあきらめることなく、タイル地とガラス地を粉にして
最初から全部を混ぜる方法を考えつきます。

粉同士の配合量や焼く温度などを9年間研究し続けて出来たのが道路
標識です。

9年間も配合量の研究をするなんて、すごいことですね。その間また
自動車部品の検査代行会社を続けていたのでしょうか。

◆「ルナウエア」の完成

9年に及ぶ研究によって、ついに高輝度蓄光材「ルナウェア」が完成
しました。

蓄光顔料を磁器製タイルに厚く焼き付けることで、強い明るさを長時間
保つ高性能な蓄光タイルです。

電力不要で、1時間日光や電気の光にあてると12時間も暗闇で自然に光
り続けるという優れものです。

樹脂製とは違い、屋外の天候や水分等で劣化せず、表面の硬度が高いの
で、人通りの多い場所でも、耐磨耗性に優れています。

陶磁器のため、高温焼成していますから、火災時でも、800℃まで性能を
失うことがありません。

また酸やアルカリ性に強く、清掃時の薬剤等の影響も受けにくくなって
いますから、化学工場などの火災や災害にも強いと考えられます。

◆「ルナウェア」が2012年の「第4回ものづくり日本大賞」を受賞

「第4回ものづくり日本大賞」を受賞したのが東日本大震災から1年後
のこともあり、岩本さんは大災害のときに役に立つ「ルナウェア」を
製品化するのは自分に課せられた使命だと強く思ったそうです。

そのため工場を作って量産したいと、経済産業省に雑談にいくと、
なんと、福島に工場をつくってくれないかと言われたのです。

❖ルナウェアの製造工場が福島県に完成

福島の復興の一助になってほしいと思った岩本さんは、帰村が始まった
(2012年4月)被災地の川内村に工場を建てることを決めます。

そして蓄光建材「ルナウェア」の製造工場は、2014年6月に完成。
木造2階建て、延べ床面積約1300平方メートル。

工場建設費は約6億8000万円。福島県の「ふくしま産業復興企業立地
補助金」で全体の4分の3を、川内村の「かわうち震災復興企業立地
補助金」で残りの4分の1をまかなったそうです。

雇用は工場長を含めて村内と近隣から採用した8人です。

これから生産量が増加すれば、もっと大勢の雇用が進むと岩本さんは
考えているそうです。

補助金が出て本当に良かったですね。

画像 岩本泰典

出典:The Independents Club 高輝度蓄光材「ルナウェア」

<プロフィール>
岩本泰典(いわもと やすのり)

1962年大阪府生まれ。大阪府立城東工業高校卒業。
ユニットバス工事、自動車部品の検査代行業を経て、
2004年、省エネルギー製品の製造販売会社「コドモエナジー」を設立。
2009年、有田焼の伝統技術を活かした蓄光・蛍光建材「ルナウェア」
を開発。
2012年、同製品で経済産業省主催「第4回ものづくり日本大賞
(内閣総理大臣賞)」を受賞。
2014年6月、量産化に向けた工場が福島県川内村で完成。

◆まとめ

「人にやさしいものづくりの会社を興したい」という創業の思いを
貫いて、数々の困難を乗り越えて、9年もの努力を重ね、ついに
「ルナウェア」を完成、製品化までこぎつけた岩本さんの根性に
ただただ驚き、感動しました。

この標識は東京メトロに導入されていて、
横浜市の八景島シーパラダイスでは電力を使わずに光る誘導標識と
同じ素材を使ってイルミネーションとして活用しているそうです。

また、香川県の観光施設や京都の醍醐寺でも導入され、観光客を
楽しませているとのこと。

これからも道路の白線に使ったり、いろいろな使い道が広がる
ことでしょう。

人生で成功するために必要なことについて尋ねると

岩本さんは一言、「諦めないこと」とコメントしました。

この簡単な一言を実行することがいかに難しいことか。
しみじみ思ったことでした。

❖参考文献・放送

The Independents Club 高輝度蓄光材「ルナウェア」
http://www.independents.jp/article/item001029?back=list1

NEWS TOKYO 都政新聞株式会社 | トップインタビュー Vol.76
http://www.newstokyo.jp/index.php?id=689

2018年5月15日放送 8:00 – 9:55 テレビ朝日
羽鳥慎一モーニングショー羽鳥が現場へ直行!聞きトリ

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